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どうすれば長時間連続成形が可能になる?– Vol.5

2012年12月20日

成形途中での成形条件の変更による品質トラブルが多く出て来ています。
昨今、それらの問題を避ける為に成形条件の変更を認められない傾向が強くなっており、特に自動車関連の部品は厳しく規制されています。

しかし成形メーカーでは、ガスの発生が著しく多い樹脂の場合などは、
数時間置きに生産を止めて掃除をしているのが現状です。

成形メーカーは金型を掃除することなく「長時間連続成形」を求められています。
可能であれば「スタートボタンを押してから予定完了まで良品を出し続けられたら」と誰でも考えます。
でもそれが出来なくて悩んでいるのが現状ではないでしょうか。

しかし長時間掃除無しで成形する事は可能です。
それでは考えてみましょう。
スタートボタンを押してから一番先に品質不良が起きるのは何でしょうか。
圧倒的に多いのはショート不良です。

何故何故を続けます。
何故ショートになるのでしょう。
  エアベントが詰まり、型内の空気が外に排出され無いので内圧が高くなり、
  発生します。
何故エアベントが詰まるのでしょう。
  それは樹脂が加熱筒の中で溶融された時に発生するガスが型内に入り
  ベント詰まりを起こします。
何故ガスを除去出来ないのでしょう。
  ノズルから入って来るガスを除去する方法が見つからない。

除去出来ないとすれば排出する方法は無いのでしょうか。
  製品部に入る前のスプルー直下とランナーエンドからガスが抜ければ
  製品部のエアベントの詰まりを抑制できます。更に製品部のベントを
  増やす事で排出効果が上がるので、更にベント詰まりを遅らせることができます。

結論としてはベントが詰まらなければ制限なく成形を続ける事が出来ます。
それには発生したガスを製品部に繋がるゲートの前、スプルーランナー部で
可能な限りガスを除去する事です。

方法としては、
1、ノズルから出た樹脂が一番先に到達する「スプルー部の突き出しピン」から除去する。
2、次にそこから漏れたガスはランナーエンドで処理する。
3、更に除去仕切れなかったガスは製品部に入るので、製品部のエアベントを多くとる事です。

単純な計算ですが、現在は10時間でベントが詰まりショートが発生したとして、スプルーランナー部でガスを1/3除去出来れば30時間にまで延長出来ます。
更に製品部のエアベントを3倍に増やせば何と当初の9倍の90時間迄延長する事が出来るのです。

この様にスプルーランナー部でガスをいかに多く抜くか、更に製品部のエアベントをいかに多く設けるかで幾らでも「長時間連続成形」する事が可能となります。

皆様の会社でもこのような事象がありましたら一度試してください。